私が高校に入学したのを機に、かねてから飼いたいと言っていた犬を飼おう、ということになりました。以前、私が小学生の時にミニチュア・ダックスフンドを2匹飼っていたのですが、彼らとは引っ越しが原因でお別れしていました。それから約8年間、念願の犬が飼える!ということで、かなり慎重に、吟味に吟味を重ねて我が家の愛犬を探して回りました。
室内飼いを希望していたため、小型犬を検討。賢く、愛嬌のある子が良い……とあっちのペットショップへ、こっちのホームセンターへと色々見て回りました。最初は乗り気だった母も、だんだん面倒くさくなってきたらしく、「もういいんじゃないの?」とか「また今度にする?」と言うようになっていました。
黒いトイ・プードルのその子と出会ったのは、中心街の小さなペットショップでした。トイ・プードルとしてはあまり見かけない真黒なふわふわの毛に、同じ色のつぶらな瞳(仔犬の目を見た母が「このうつろな目が可愛い!」と言い間違えたのは今でも忘れません)。他の仔犬と比べても一回り小さい体でテトテト歩く姿に、私と母は一気に心を奪われました。
すかさず店員さんが「抱っこされてみますか?」と仔犬を取り出して渡してくれました。
見た目だけでほぼ落ちかけていたというのに、抱っこしてしまえば陥落は必至でした。トントン拍子に事は進み、一時間後には仔犬をキャリーバック(ペットショップにて合わせて購入)に入れて家へ帰っていました。
……それから9年、新たにもう1匹仔犬が加わったり、私が犬を連れて一人暮らししたり、実家へ帰ったり、トイ・プードルちゃんの癌が発見されたりと、色々なことがありましたが、今日も彼女たちは2匹とも元気でいてくれています。
先日、トイ・プードルちゃんの最後の抗癌剤投与も終わり、転移も見られないということでほぼ完全に治療が終了しました。これから先の心配は尽きないし、彼女たちがいなくなったら……と不安に思うことも多いけれど、それ以上に2匹と一緒にいるときの安らぎの方が大きいので、日々、一分一秒を心に刻みつけるようにして彼女たちと時を過ごしています。
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